癒されるモノ・トコロ・ヒト

逗子に暮らす作家がおすすめするアラフィフ生活

高齢化社会に出来るほんの些細なこと 「良き隣人でいたい」

 

 

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高齢化社会が忍び寄る、なんて言っていた日々はもう過ぎ、私の住んでいる街などは、高齢者ばかりで、バスの運賃も優待などない現状です。私などまだまだ若い方で、ちょっと知り合うと、お若い方は良いですね~などとよく言われます。若くないのに💦

 


私の母は、もっぱらお婆ちゃま好き、なので、ご近所のお婆ちゃまの世話をせっせとしています。一人暮らしのお婆ちゃまが入院すると、親族かのように見舞いに行っては、食べたい、と呟くものを持っていくのです。その喜ぶ顔が嬉しいのだそう。

 

でも近頃は、自分もお婆ちゃまの一員であることをやっと思い出したのか、頭の中にセミが100匹くらい鳴くような音がし始めたそう。完全にストレスです。週一くらいにしておいたら?と負担にならないようアドバイスしました。

 

 


その母からDNA を貰った私は、お爺ちゃま好き。

お婆ちゃまは、ちょっとだけ怖いのですよ。嫁に見えるのかしら。年若いというだけで、睨むんだもの💦

 


それに引き換え80過ぎのお爺ちゃまは優しいのです。

 


ご近所には、男やもめになってしまい、少し認知症が始まったお爺ちゃまや、妻が長期入院していて一人暮らしをしていたらアルツハイマーになってしまったお爺ちゃままで様々おられます。皆さん、お若い頃は立派な肩書きを持ち、悠々自適に生活なさっていらしたのに、頭がおかしくなるのはどうしてかしら。

金銭的危機感がないと脳までダラリとしてしまうのかしら。

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日本の痴呆症のお年寄りの貯金額が数兆円だとニュースで聞きました。自分の名前も分からず、暗証番号も忘れ、息子が引き出そうにも引き出せないとか。後妻業などという怖いドラマもありましたね。お金があっても幸せな老後が待っている訳ではないようです。一方、生活費の為に必死になっている毎日だと、お年寄りの脳も刺激を得るのでしょうか。定かではないですが。

 

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とにかく、哀れなお爺ちゃまが多くて悲しくなること度々。

 


自分には暖かな老人ホームや介護施設を作る資金などないけれど、ほんの身近なところで人助けが出来ないものかと思い、憐れなお爺ちゃまを見かけると声を掛けたり、重そうな買物袋を階段の上まで持って上がったり、世間話をしながら家の近所を一緒に散歩したりします。病院に付き添うこともあります。正に遠くの親戚より近くの他人なのです。隠れ非公式民生委員とも言えます。

 


時には車に乗せて海を観に連れ出したり、砂浜を歩いたり、お魚定食をご一緒したり。

 

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魚をむしりながら、何度も同じ話を繰り返すのですが、ひたすら、お爺ちゃま方の過去の栄光の話に耳を傾けます。そして、ひたすら誉めます。お爺ちゃまは満面の笑みで話し続けます。すると、數十分もすると、顔つきが少しずつスッキリし始め、眼光も若き日を彷彿とさせるほどに鋭くなっていくのです。

 

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話し相手もいず、テレビだけがお友達、一人で買物をし、一人で食事をする日が多くなると、若くたって引きこもりになりがち。

 


お婆ちゃまは賢く生きてこられたけれど、お爺ちゃまは会社のことしか知らない方が多いです。手洗いうがいの習慣すらない男子達ですよ。運転手付きで楽々通勤していた方などは足がヨロヨロです。しかし、女性にはなかなか知り得ない含蓄のある言葉が光ります。こちらも多大な知識を得て、人生の勉強になるのです。まさにギブアンドテイクです。

 


軽い認知症のお爺ちゃまは、私に「また髪を切ってください」といつも頼みにきます。床屋や美容院がいくらでもあるのに、それを口実に一緒にお散歩をしたいのです。

 

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青空の日、いつものように近所の公園まで歩いて、ヘアカットの準備。

 


しか~し、ヘアカットと言っても、その方は両サイドと後ろに髪が残っているだけで、あまりカットする部分はないのです。

 


髪の毛が公園に散らばらないよう子供用カットの円盤ビニールケープを首回りに装着します。

 

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認知症なので、これを付けるとやたらに喜んで、「そう言えば昔飼っていた犬がこれを付けていました!」と毎回同じ話しを始めます。

 


散歩している他のお爺ちゃまが、そんな奇妙な光景を見ないように、遠慮がちに静かに去りゆく中、その背中に向かって「こんにちは!」とわざわざ声をかける始末。

 

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どうして声をかけるんですか?と問うと、「見てほしいんだもん」とまるで子供のよう。こちらまで高笑い。通り過ぎたお爺ちゃまがまた振り返ってこちらを見るので「カットしましょうか?」と喉まで出かかるのですが、急ブレーキ発動。街中のお爺ちゃまのカットなどしていたら、私の耳にもセミが100匹とまりそう。

 

 


子供連れの若いママが、「美容師さんよ!」と子供に話しています。そうなると、こちらもそれなりに軽快に女優のように演技します。

 


「貴女に切ってもらうのが一番カッコよくなれるんです。」

女性を褒めることだけは忘れていないジェントルマン。

 


結婚以来、素人にも関わらず、大トトロの髪をずっとカットしてきたので、カットは手早くできるのです。15分くらいで全ておわると

「軽くなった気がしますが、実際にはこんなものですか」

と円盤の上に落ちている髪の量に驚いているご様子。

 


頭もサッパリ、気持ちもゆったりしたところで、お爺ちゃまは公園の自動販売機で缶コーヒーを買ってきてくれて、ベンチでほっこり🥫

ほんのひと時ではありますが、お爺ちゃまは、ただのお爺ちゃまからキリリと社長の顔に、又はガハハと少年の顔になり、僕は幸せだ~!と呟かれながら、一人暮らしのお家に帰っていかれます。

 

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自分に出来ることは、道端に咲く花ほどに限られているけれど、グローバルになんてとても出来ないけれど、皆がお隣にほんの小さな愛と気遣いを示せたら、世界中の人が示せたら、世界の人が手を繋げるかもしれない、無理だけど、無理に決まっているけれど、無理を承知で突き進む。

 

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それを聞いたある人に、「貴女はマザーテレサ病ですよ!マザーテレサは病気だからあんな事が出来たんです!」と言われました。

 


いやいや、病気ではないですよ。「受けるより与える方が幸福」なのです。聖書の言葉にある通りなのですよ。

 

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