親愛なる我が心の故郷イタリア🇮🇹
新型コロナウイルスにて多くの犠牲者が出ていることに心が痛みます。
謹んで哀悼の意を表します。
イタリアが平和だった昨年12月、麗しきイタリアの日々を忘れないうちに、綴りたいと思いました。
12月初旬、ヴェネチアの青い空がアドリア海と対になるほどの眩しさだった。その間におもちゃのような建物が立ち並び、その小窓をつけた箱たちが、また来たか!と歓迎してくれているかのようだった。
毎回4泊するヴェネチアだが、前半後半とでホテルの格式を変える。
理由は簡単。お金が続かないから。
前半は安くて立地条件の良いホテルに滞在してヴェネチアをくまなく回る。残り2泊は優雅な日々で締めくくるのが常である。終わり良ければすべてよし。
いつも、前半はホテル・カサノバやホテル・ケッテに予約するのだが、今回は新規開拓でロイヤル・サンマルコホテルを予約しておいた。チェックインまで荷物を預けて、手ぶらになってから散歩スタート。
懐かしいサンマルコ広場。心配していたアクアアルタ(洪水)などなかったかのような美しさである。
広場角にある行きつけのアクセサリー屋に立ち寄る。重厚な家具にふかふかの絨毯。
以前はムラーノ島の職人達が作る花々のガラスのアクセサリーが、ビロードの黒い生地が敷きつめられたひきだしの中にいくつも入っていたものだ。
アクセサリーの芸術といっても過言ではない。次のひきだしも見せて〜と無邪気に感動していたあの頃。女子力に火がつく瞬間だ。
もうあの花々の手作りアクセサリーを作る職人はいないと言っていたが、今回もひとつもなかった。
アクアアルタの話になると、店主がここまで水が来たよ、と80cmくらいまでの棚の高さを指さし、えー本当に?!と驚くと、大変だった、毎年のことだけれど、今年は特に大変だ、と嘆いた。
当然だが、アクアアルタが来る前に棚の陳列商品は全て引き上げ、水没しないようひきだしも片付けておくようだ。
せっかく再訪した記念に、ガラス玉のアクセサリーを購入した。
アクアアルタのせいでお客が減少していると店主が嘆くので、二つ購入した。
grazie grazie(ありがとう)とパウリーのハンサムな店主が満面の笑みになった。
散策を続け、これまた行きつけのリストランテ、ピッコロ・マルチーニを覗いてみる。相変わらず赤白のチェックのテーブルクロスが可愛い。
このリストランテはホテル・カサノバの通路を挟んだ目の前にあり、美味しい上にリーズナブルで、ヴェネチアにいる間には何回か足を運ぶ。
ハウスワインも上質な上に、何を注文してもハズレがない。
ワンパターンと言われても、また食べたくなる。ギャルソン達も皆親切で愛想が良いのも心地よい。
彼らも先週までのアクアアルタについて、水が来たけれど、みんな長靴を履いて頑張った、一番酷い時には、パスタマシーンやコーヒーメーカーなど、マシーンが8つも水に浸かり、壊れてしまったので新しくした、と嘆いていた。拙い英語で語り合ったが、その洪水の凄まじさが垣間見れるほどに、彼らの話し方とジェスチャーには苦労の熱と吐息がこもっていた。
ここの手長エビのチーズリゾット、ステーキは、安くて美味しい。
ホテルにチェックインすると、
安価なホテルではあるが、なかなかセンスの良いクラシックな内装で、受付も丁寧だった。
部屋に案内されると、カーテン、ベッドカバー、テーブルクロスがすべてお揃いの色模様。
イタリア独特の形状の鏡もついている。
ベッドヘッドには可愛らしい花模様が描かれている。
コンパクトな部屋だが清潔で可愛らしいので大満足。
しかし安いだけあって、シャワールームのタオルが、パリのリッツに慣れていたこともあり、なんじゃこりゃ〜?というシロモノであった。
吸水性の全くない、ナプキンのようなタオルだけが惜しい!!
ヴェネチアでは、ひたすら大トトロとそぞろ歩きをし、ウインドウショッピングを楽しむ。
前回のブログで述べたように、所持金はもはや3万円。あとはカードで支払う。チップやら、お昼のサンドウィッチや八百屋でドライトマトなどに支払うお金は現金のみなので、どこかで円を€にチェンジしなくては…。と思いながら歩いていると意外にもCHANGEと書かれた両替屋は多い。
しかし!!しかしだ〜!!
ヴェネチア広しといえど、まともなCHANGEは一軒しかないことをご報告。
あちこちにある赤いCHANGE は手数料を19.9%+9.5€も取られる。3万円を€にすると177€しか戻らず、キャンセルしてと要求しても駄目だった。びっくり仰天!
サンマルコ広場のコッレール博物館裏にある緑のCHANGEは、手数料込みで1万円が75€。ずっとお得でパリと変わらず。 このCHANGEだけ信頼できる。
とんだハプニングで持ち金は更に少なくなった。
こんな時にはしょげ返っているのもつまらない。かえって贅沢したくなる気分になる。贅沢といっても気持ちの贅沢ね。
フェニーチェ劇場まで散策し、公演はないか尋ねると、なんと、かの有名な指揮者、チョン・ミョンフンによるマーラー、交響曲第9番ニ長調、フェニーチェ劇場管弦楽団によるコンサートが今宵あるというではないか。音に癒されたい!早速安いチケットを手配した。恵みの夜だ。
その夜は、この世のものとも思えない、美しいフェニーチェ劇場にて、美しい音色を楽しみ、天井桟敷から身を乗り出して、チョン・ミョンフンの直立不動のまま肘から先だけが華麗に動く素晴らしい指揮を、瞬きもせず一心に眺め、陶酔した。拍手とブラボーとアンコールが永遠に続くかのような総立ちのコンサートとなった。
数年前に一度火事で全焼したフェニーチェ劇場であるが、見事に蘇り、マリアカラスの肖像画が通路に飾られ、休憩時間には紳士淑女達が正装して、優雅にワインを飲みながら談笑していたあの平和なひとときが、今も脳裏からはなれない。
火事全焼、アクアアルタ、新型コロナの三重苦を、どうにか乗り越えてほしい。
世界の人々に、最高峰の文化、芸術を発信し続けてくれることを祈り上げます。
つづく
ひと月だけのお試しあり!