おしゃれ貧乏な私は、パリに行けなくても、バスタブに使わなくなったパフュームやオードトワレを置いて、その日の気分でお風呂の湯にシュシュっと振りかける、それだけでパリまで一瞬でワープする。
今日も友人が腕をナデナデ、足をナデナデしていて落ち着かない。
痛いの?と尋ねる私に、痒(かゆい)の、冬は乾燥するから痒くなるのよ、いろいろ塗っているんだけどね、とのこと。
最近、冬乾燥による痒みを訴える人が多い。話を聞いていると、そのうちの殆どの方は、この時期40℃以上のお風呂に毎日入る上にゴシゴシ洗う方々だ。
ゴシゴシ洗うと皮膚が更に脂気を失くして乾燥するよ、と話すと、気持ち悪いじゃない、キュキュッとするまで洗わないと気が済まない、とのこと。
私は思った。お皿じゃないんだから。
母もそのキュキュッと、の方だ。幼稚園児の頃、母と一緒に入浴すると石鹸をたっぷり泡だてたヘチマか何かでギュウギュウ洗われて、痛い痛い、と言ったものだ。父と入浴すると、絞りもしないタオルでくにゃくにゃ~と這わせるだけで、こんないい加減な洗い方で良いのかと幼心に思ったものである。
それが今はどうだ。父は手で石鹸を泡立てて身体中撫でて、シャワーで流して終わりだそうである。そしてとても綺麗な皮膚をしている。アフターケアなどしていない。
一方母は、相変わらずの完全主義。隅々まで清く正しく洗わないと気が済まないようで、それなのに、身体中が痒いと言ってはバスローブ姿でクリームを塗りまくっている。擦っちゃダメよ、という娘の助言に、垢(あか)が気持ち悪いのよ、と言いながら。
肉体労働をしている訳でもなく毎日家にいて安楽な老後を過ごしているのに、毎日垢が出るほど新陳代謝が良い訳がない。
母に、それは垢ではなく皮膚よ。皮膚が傷ついて剥がれているのよ。だから痒くなるの、又はその垢らしきものは、毎日塗りまくっているクリームよ。と言うとえ??と驚いた様子である。
カカトも徹底的にヤスリ?のような道具を使って洗うらしく、母のカカトは鏡モチみたいに干からびていてクリーム無しではヒビが入って痛そうだ。一方、指でこする程度にしか洗っていない私のカカトは自慢ではないが赤ちゃんのような瑞々しい美しさ。
テレビでも、子供の入浴の仕方について、あまり洗いすぎるとアトピーの原因の一つになりかねない、と皮膚科の医師が話していた。熱い湯に浸かるだけで大抵の脂は落ちるとのこと。
高級クリームなどつけなくても自家製天然オイルが無料で出てくるではないか。それを毎日擦り落としているとは、なんて勿体ないこと。
かつて零下10℃の北京に旅し、身体中痒くなった記憶が蘇る。内陸地で、経験したことのない空気乾燥に閉口した。ここ数日、私の住んでいる地域も乾燥マックス。明日はようやく雨が降るみたい。
今夜もバスタブでマッタリするが、好きなオードトワレをシュシュっと振りかけ、浸かるだけにしよう。目を瞑ると、もうそこはパリ。入浴はお皿洗いではなくマッタリ~の癒しの場にしたい。
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