先回、「突然芸能人(有名人)に会ったら」、の成功編をブログに書いたが、その後、妹はただ一度の成果を、再び実行に移していた。
全く同じ状況で、生前の九重親方(千代の富士)に空港で出会い、ちゃっかりサインを貰ったのである。
妹曰く、あんなに目立っているのに、可哀想なくらい誰も声を掛けないんだよ~!
素敵な紳士だった~!とご満悦。
空港のラウンジは、搭乗を待つ退屈な場である事が多いので、気持ち良くサインをくれることもあるであろう。
しかし、見境なくは多大なる迷惑となる。
我が家の近所でも、たまにユーミンがスタバで読書をしていたり、有名俳優がジョギングしていたりするが、そのようなプライベート時間にサインをねだるようなことは、まずしない。
数年前、銀座松屋へ母と二人で、知り合いの画家の個展を見に行った時のことだ。
イタリアンの夕食会にも参加した。🍷
画家が一人一人を簡単に紹介し、皆がその画家のファンである事がわかった。
その画家は、フランス🇫🇷では知名度が高く「日本のゴッホ」とも言われる葛西利行画伯だ。
葛西先生がある男性参加者のことを、からかっている。
「この人は音楽がすごいからね~」
ギターがどうのこうの…🎸
すっかりギターリストだと思った母が、
「ギターリストなんですか?今夜は芸術家のお集まりで嬉しいわ~」
と、赤ワインを片手に会話を繋ぐ🍷
「いやいや、この人、歌手ですよ!」
「は?」
わたしは暗闇のリストランテでそっと顔を凝視したが、知らない。
母も人一倍の顔音痴なので、絶句💦
葛西先生が、
「雨ですよ、雨…」
「雨…?」☂️
暫く沈黙の後、母が突然
「雨って、あの雨?!あの、歌の雨ですか?あの歌手の名前が出てこないわ~」などと大騒ぎしている。
「三善英史さんですよ」
「あ、そうです、そうです、みよしえいじさん!!え?そうなの~~?!あなた〜?!!」
勘弁してくれと言いたい会話が続く。
三善英史さんご自身が、そうなんです、と優しい笑みを浮かべる。また母が
「どこかでお見かけした方のように思っていたのですが、あの頃、子育てで忙しくてテレビを観ている暇がなかったんですよ。でも歌はよく知っていますよ。カラオケでも歌いますもの!」
と必死のフォローと、子育て云々、しっかり私のせいにしている。
葛西先生が、紅白にも出たよね~~と続けると、三善英史さんが
「いや、僕を知らないと言う方との食事はホッとするんですよ。」
と実にお優しいお気遣いのお言葉に感動。
私が
「お店が暗くて気付かず申し訳ないですね。」と詫びると、皆がドッと笑って楽しい夕べとなった。
顔音痴は致命的だ。ましてや名前と歌が一致しないのも。
最近、私もやっちゃった!
やらかしてしまった!
やっちまった!
日本語にはいろいろあるから面白い。
とある駐車場でよく見かける男性がいる。いつもお互い笑顔で会釈。噂では昔から有名なバンドグループの方だそうだが、バンドに興味のない私は知らぬまま。
先日、またいつものように偶然出会い、会釈をしたが、私のミーハー心が急に芽生え、
「これからお仕事ですか?」
などと声を掛けてしまった。
「そうなんですよ、これから、スタジオ入りで」
あぁ、やっぱりそうなんだ!!確信を得てしまい、二歩近づいて、
「よく存じ上げないのですが、歌手なんですか?バンドしていらっしゃるんでしょう?」
「そうなんですよ」
「えーっと、バンド名、コクーンでしたよね」
噂に聞いていたバンド名を高らかに述べた。無知ほど怖いものはない。
「惜しいです!」
「惜しい?」
「◯◯◯◯、です!」
「◯◯◯◯??」
脳内のどこの領域がコクーンに変換してしまったのか、自分の認知症をとっさに隠すべく、昨年から大流行りのクイーンの映画ボヘミアンラプソディーに話を早急に移し、
「フレディ・マーキュリーみたいにバンドで生きていけるなんて羨ましいです!!」と破茶滅茶に締めくくった。
すると今度は彼が、二歩近づき
「ゴルフなさるんですよね。」
とゴルフレッスンの帰り姿の私に優しく問う。
「まだ始めて3年ですが、今日も打ちっ放しの帰りですよ。」
「今度行きませんか?一緒に回りましょうよ。」
「え?」
この先の会話はマル秘㊙️とさせて頂きますが、下手にファンだったり、知っています!などとならない方が、かえって有名人達は鎧が脱げて、本当に気が楽になるのかもしれない。
大失態編ではあるが、
失敗は成功のもと、とはこのことである。